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Tokyo Vacation

 東京の風は生あたたかった。

 友人は私が泊まるホテルのフロントで待っていてくれた。数年ぶりの東京は私に少しばかりの緊張と不安を与えていたけれど、彼女のおかげでそれもすっかりなくなった。久しぶりに会って、一緒にランチを食べた。彼女の近況を聞いて、真面目に生きているなと感心し、自分の怠けぐせを再認識。
 前に会ったときと私たちはちっとも変わっていない。これって、いいこと?安心できたのだから、今日はこれでよかったことにしよう。

 夜には大好きなウクレレプレーヤーのライブ。他のファンの知り合いにもたくさん会場で再会し、楽しいひととき。ライブの後は打ち上げと称し、ホテルのバーで飲んで食べた。

 部屋に戻り、窓から夜景を眺めた。急に襲ってくる一人ぼっちの時間。
 でも私はこの時を待っていたような気がした。

 明るい光の下にある地上には濁った空気がうごめいている。
 この街の夜景を見るたび、いつも思う。「自分はちっとも頑張っていなかったんじゃないか」と。
 過去と現在が交差し、まるで20年前のことが昨日のことのように思えてくる。やがて昔の自分が今の自分と入れ替わり、ここに立っているような気がしてくる。
 どんどん姿を変えていく大都会にいて、なぜそんな感覚にとらわれるのだろう。

 地上にある数え切れない人生を想像し、自分がちっぽけな人間に感じる。だがそれは決して嫌なものではない。暗い感じでもない。むしろ、この街の、世界の一部であることにうれしさを感じるほどだ。

 それだけ東京に魅力があるということなのか。

 翌朝、エレベーター前の窓から見えるスカイツリーがとても素晴らしくて、写真を撮った。これは自慢の一枚になるだろう。

 スターバックスでいつものラテを飲みながら、「スタバがあれば、世界中どこへでも行ける」そんなことを思いつく自分がおかしい。暖かいラテで体は汗ばんだ。

 今、ここにいることをとても幸せに思える瞬間だった。


G.W in 2013 (サロン・ド・テ アズ)


 こんなどんよりとした天気だから、オータムナルを飲むのもいいかなと思った。

 サロン・ド・テ アズ。わが家の近くにある紅茶専門店。

 旬の茶葉を楽しめる店は意外と少ないから、私にとってここは貴重な場所だ。
 お茶は季節を感じさせるもの。シーズンティーを入荷したとなれば、必ず飲みたくなってしまう。少々、お値段が高くても、この最高のぜいたくはやめられない。

 曇りと雨の繰り返しのゴールデンウィーク。
 いつもなら桜が咲いているはずなのに、この寒さでそんな気配はまったくない。おまけに風邪まで引いてしまった。
 桜が諦めきれない私は、雨の中、お花見名所の公園へ足を運ぼうかと思ったくらいだ。あまりの寒さに考え抜いたあげく、サロン・ド・テ アズの扉を開けた。

「いらっしゃいませ」ではなく、「こんにちは」とあいさつしてくれる店。
 もしかしてここのお姉さん(あずささん)は、私の好みの紅茶をよくわかっているのかもしれない。もっとも勝手な思い込みの可能性もあるけれど。
 2012年のオータムナル(秋摘み)のダージリンがまだ残っていた。
 まるで深い秋のような街の景色を眺めながら、飲んでみたいと思った。

 ダージリンティーにはスリーシーズンがあり、それぞれファーストフラッシュ(春摘み)、セカンドフラッシュ(夏摘み)、オータムナル(秋摘み)と呼ばれている。
 どのシーズンのお茶も味や香りに個性があって、本当においしい。
 ファーストフラッシュは若葉を思わせるような淡い色をしていて、みずみずしさがある。
 セカンドフラッシュには太陽をたくさん浴びた濃い緑から生み出される、しっかりとした存在感があり、一般的にダージリンといえば、このセカンドフラッシュを思い浮かべるだろう。色はファーストフラッシュより紅く変化している。
 そしてオータムナルには独特の渋みと深みがあり、オレンジの色彩が特長だ。
 ひと口飲むと、全盛期を終えた茶木が成長を休める寒い季節を想像させる。自分が自然の一部になったような気がしてくるのだ。


 紅茶はこんな寒い日に飲むのがぴったりではないか。曇り空がよく似合う。

 やがて雨がまた降りだしたら、部屋へ帰ってバッハを聞こう。2013年5月4日、サロン・ド・テ アズにて。


わりなきもの、人生

 朝、テレビをつけるとHTBのモーニングバードに岸恵子さんが出演していた。
1953年の大ヒットドラマ「君の名は」で、主人公の真知子を演じた女優さんだ。
「真知子巻き」と呼ばれたスカーフは、当時、大流行したそうだ。
 そこまでは以前どこかで聞いたような気がする。
 どうやら、この「真知子巻き」というのは、髪の毛をすっぽり覆うように頭全体にくるりとスカーフを巻きつけるらしい。モノクロの写真を見て、初めて知った。

 ところで、この岸恵子さん、おしゃれである。
 羽鳥アナウンサーが思わず「若さの秘訣はなんですか」と聞いてしまうのもうなづける。
 大きな襟のついたグレーの上品なスーツは、小柄な年配女性にしっくりと馴染んでいた。
 実は私はこの大女優をよく知らなかった。
 彼女は24歳のとき(1950年代)に渡仏して以来、フランスと日本をよく行き来していたのだそうだ。
 私が生まれる前のことだから、相当ハイカラなレディーだったに違いない。
 そんな彼女の口から「私、80歳よ」と、こぼれた。世の中の80歳の人に対して「どうしてそんなに老け込んでいるの?」と思うのだとか。
 聞いているこちらは「なぜそんなに若いの?」と思ってしまうが、「そうか、そういう見方もあったか」と妙に納得。やはり年齢を重ねた人の言葉には説得力がある。
 最近、「わりなき恋」というタイトルの本を出版したそうだ。
 人生には恋以外にも割り切れないことがたくさんあると思うが、長く生きていれば、それはそれとして、自然に受け流せるようになるのかもしれない。

 テレビを消して読売新聞の「編集手帳」を読むと、「2040年には日本人の10人に3~4人が65歳以上の高齢者になる」と書いてあった。この高齢者って私のこと?じゃん。
「おいとまをいただきますと 戸をしめて出てゆくやうにはゆかぬなり 生(せい)は」 (斉藤 史)
 おいとまをする時を選べないのが生(せい)ならば、生きている限り、幸せでいたい。
 そんな私は欲張りなのか。
 そういえば岸さんも、自分のことを欲張りだと言っていた。それが若さの秘訣なのだそうだ。


本当の私


「私は人見知りです」と言ってしまうのは簡単だ。

 言葉どおり、私は元来、人見知りであった。
 幼少の頃は、知らない人に話しかけようとするだけで、気分が憂鬱になったものである。
 理由はずっとわからなかった。
 私は周囲の人々の言動をよく観察する子で、まるで自分を取り巻く世界の傍観者のようだった。

 ある日、人生相談を読んでいて「人見知り」とは「自意識過剰」のことなのだ、ということを知った。精神科医がそう回答していたのだ。
 言われてみればそうかもしれない、と思った。
 相手にどう思われるか不安だから、人見知りだったのか、と。

 その記事を読んだとき、私はもうすでに自意識過剰な女の子ではなかったが、最近になって時々、大昔の私が顔を出すのだ。

 更には、そんな私なのに、「人見知りだから」と言う人が苦手である。
 初対面などでそう言われてしまうと、もはや自分が拒絶されているのかと、勘ぐってしまう。
 「いい年をして」と心の中で思ってしまうのだ。自分のことを棚に上げて。

 社会人になってからは、人見知りだと悟られないように振舞ってきた。
 それは必要に迫られてのことだったように思うが、私の世界は格段に明るくなった。

 性格は変えられる。
 なりたい自分に近づくことができるのだ。
 その可能性は無限大。

「人なんて変わるわけないさ」と思う方は、どうぞご自由に。

 人生の主役は自分しかいないのだ。
 傍観者でいるのはもったいない。


カフェ「森彦」

 土曜日の朝、ベッドから起きだして、さてなにを食べようかと考える。
 そうだ、チーズドーナツがあったな。飲み物はコーヒーが合う。
 いつもは紅茶を飲むのだが、どうしようかな。
 いや、コーヒーはやめておこう。今日は「森彦」に行こうと昨夜から決めていたのだから。
 
 私はちょっと重たい町村農場のチーズドーナツと紅茶で、朝食をすませた。


 数週間、ノートパソコンを開いていなかった。
 するとなにかが変わった。
 本を読む時間が増えたし、カフェに出かける時間もできた。


 カフェに行きたい。それだけの理由で家を出た。
 歩いて15分ほどで着いたその店は、あいかわらずの古い民家で枯れた蔦が外壁を覆っていた。以前、来た時は夏だったから、青々とした緑の葉に包まれているようだったが、今はすっかり外観が違って見える。


 入口の前で写真を撮った。扉を開けて中へ入ると、目の前のカウンターに若い可愛らしい店員が笑顔で立っている。「いらっしゃいませ」と声をかけられた。
 きっとガラス越しに、外で写真を撮っている私を見ていたのだろう。少し恥ずかしくなった。

 すぐ右手には見覚えのある薪ストーブがあった。
 二階の席へと案内されたとき、古い木の階段がギシギシと鳴った。
 そう、この音も覚えている。

 二階のテーブルにはカップルがふた組と、一人で来ている女性がいた。
 この女性は一眼レフカメラで、店内の様子を撮り始めた。立ち上がって、窓から見える風景も撮っていた。

 もしかしてここは札幌で一番有名なカフェなのかもしれない。
 カフェ本の常連で、ここ数年人気は衰えることを知らない。

 壁にかかったぜんまい時計から聞こえるカチコチという音。
 天井からぶら下がったガラス製ペンダントライトの暖かな色。

 ここは少しだけ過去を振り返ったり、日常を頭の中で整理するのにちょうどいい。

 カフェオレはとてもおいしかった。
 私はやっぱりカフェが好き。


Appendix

プロフィール

RISA

Author:RISA
本とカフェ巡りが好きな40代女性です。北海道札幌生まれ。
いつか本を出版するのが夢☆です。

現在、およそ2日に1度のペースで更新中です。

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